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　全国高校駅伝の男子は25日、京都市のたけびしスタジアム京都を発着点に7区間42・195キロであり、西脇工（兵庫）が2時間4分16秒の6位に入った。

　桜が咲き誇る中、「あの日」みんなで立てた目標は達成できなかった。選手たちはメダル（3位以内）に届かずに悔しさをにじませるも、充実感も漂わせた。足立幸永監督は「1区でいい流れを作ってくれて、みんなで戦うことができた、いい駅伝だった。何とかメダルを取りたかったが……」と振り返った。

　2年前の春。希望を胸に西脇工に入学した日、現3年生たちは、校門の前で「僕たちの代で絶対優勝しよう」と誓った。メンバーは地元・兵庫出身者で構成され、留学生はいない。エース・長嶋幸宝（そなた）選手（3年）を中心に互いに切磋琢磨（せっさたくま）し続けてきた。

　3年生たちは入学時から期待された。3000メートル8分台の長嶋選手をはじめ、藤田大智主将、新妻玲旺選手、稲見峻選手、江上天晴選手ら「県内でもトップクラス」（足立監督）のランナーが勢ぞろいしたからだ。中学は違えど、記録会やレースで顔を合わせ、互いの実力は知っていた。そのメンバーが集まり、「都大路優勝」という目標は必然のように掲げられた。

　長嶋選手は佐久長聖（長野）の吉岡大翔選手（3年）らと並び、世代屈指のランナーだ。そのエースの存在が、同学年の選手の力をさらに伸ばすことになった。

　藤田主将は「結局これまで、練習でもレースでも、長嶋には一度も勝っていない」と語る。それでも「いつだって、『今日こそ長嶋の前に出よう』という気持ちで練習をしていた」と強調する。長嶋選手も世界の舞台を見据える自らの将来のため、そしてチーム力の底上げのため、「負けることはあってはならない」と思っていたという。

　長嶋選手は今年5月、5000メートルで13分37秒46という「超高校級」のタイムを樹立した。エースの後を追うように、3年生たちはメンバー外も含めて全員が5000メートル14分台に到達した。

　この日、1区の長嶋選手は期待通り、区間賞の快走を見せた。思い描いていたパターンだったが、3区途中で先頭を譲ると、そこから優勝した倉敷（岡山）や2位の佐久長聖に追いすがることはできなかった。長嶋選手は「優勝することができず、非常に悔しい。でも、みんな最後まで都大路の雰囲気を楽しんで走っていた」。栄冠をつかむことはできなかったが、前回大会よりも一つ順位を上げた。努力の跡を十分に示したレースだった。【大東祐紀】